2006年11月29日

礫浜(れきはま)と海岸林

林裕美子(2006年 11月 29日)


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 大きな河川が海へ注ぐ区域には浜があります。宮崎市付近では、それが細かい砂だけでできる砂浜です。少し北の高鍋町まで行くと、砂に、子供のこぶし大の小石が混じるようになります。その北の川南町になると、また砂浜になりますが、さらに北の都農町に入ると、直径が10cm、20cmもある石ばかりの浜になります。礫浜です。礫の下は砂なので、干潮のときの波打ち際には砂浜が広がるところもあります。川南町の平田(へだ)川から日向市の耳川にかけての礫浜を歩いてきました。歩きにくいこと、このうえもないのですが、砂浜とは違う海岸の様子を見ることができました。

 満潮時になると、波は、何千、何万個とある石を洗います。波が引いていくときに石が少し動きます。このときに、石がぶつかり合う音が出るのですが、無数の「コツン」という音が同時に湧き起こり、独特の礫浜の音が聞こえます。大きな打ち上げ花火が空で広がる時の音を間近で聞いたことがありますか?ドン!という最初の広がりのあとに、たくさんの小さな花火が周りではじける趣向のものがあります。そのたくさんの小さな花火がはじけるときに、「バッバッバッバ.......」という連続した破裂音が聞こえます。礫浜の音は、このときの音に似ていました。

 石ばかりがごろごろしている浜でも、植物は浜の丘を広げるべく、日夜奮闘してます。上の写真で石の上を這っているのはハマゴウです。都農の海岸では、ハマゴウだけでなく、ハマヒルガオ、ハマエンドウなどが礫の表面を覆っているのをあちらこちらで見ました。マサキやツルヨシといった植物も、茎や地下茎を一直線に浜に向かって伸ばしていました。波が高いときには海水をかぶり、強い風が吹けば、せっかく伸ばした地下茎から地上に出る茎も倒されるかもしれません。でも、そんなことへっちゃら!と言っているような勢いでした。

 そして、この元気いっぱいの海岸植物の背後には、黒々と照葉樹の海岸林が広がります。海岸林というと、人が営々と植えてきた松林を思い浮かべる人も多いと思いますが、都農町の海岸は、照葉樹の自然林です。海岸際では、ハマヒサカキ、マサキなどの背が低い木が目につきました。少し陸側に入ると、シャリンバイ、マテバシイなどがあります。リニアモーターカーの実験線の高架が海岸に沿ってありますが、海岸林の高さは、この高架を超えるほどになっています。

 このように、すばらしい自然の海岸環境ですが、至るところにコンクリートの護岸がありました。昨年2005年10月4日に、一度浜を見に行ったことがあります。9月の台風のためか、礫浜に生えているはずの植物は見当たらず、その陸側の照葉樹の木々が無残に枯れた幹をさらしていました。

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 気になっていたので、今年の夏にもまた、同じところを見に行きました。枯れた木々はそのままでしたが、近寄ってよく見ると、木々の根元には、さまざまな海岸植物が競うように育っていました。ハマボッス、ツワブキ、などが目立ちました。そして浜の方へ向かって茎を伸ばし始めたハマヒルガオが、植物最前線でピンクの花を咲かせていました。

 残念なことに、植物が枯れた一部の区域には、すでに真新しい傾斜護岸が建設され、それを護るために、海の中には消波ブロックの列が築かれていました。下の写真は、上の写真と同じ場所を2006年7月20日に撮影したものです。植物が浜を修復するのを、もう少し待ってほしかったと思いました。

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尾鈴山瀑布群

坂元守雄(2006年 11月 29日)


 1944年(昭和19)に国の名勝に指定された「尾鈴山瀑布群」は、名貫川の上流にあたる尾鈴山の3つの谷、矢研(やとぎ)谷、甘茶(あまちゃ)谷、欅(けやき)谷に架かる30余の滝をいう。そのうち、矢研谷の「矢研の滝」は高さ73m、水量豊富な名瀑で、1990年に「日本の滝100選」に選ばれた。欅谷の名瀑、白滝(高さ75m)までの間には大小10数条の滝があり、滝めぐりの白滝コースとして親しまれている。甘茶谷は尾鈴山登山道に沿った谷で、小滝が多いが渓流や淵の美しさがとくに目を引く渓谷である。

 尾鈴山はかつて植生が豊かで植物の宝庫といわれたが、現在、中腹は大規模に伐採され、山頂部と瀑布群周辺だけがかろうじて伐採を免れ、深山の名残をとどめている。滝めぐりコースでは、照葉樹の中に落葉広葉樹が混じり渓谷の眺めをより美しく見せているのが印象的である。

 11月の中旬、連れ立って矢研の滝まで行った。矢研の滝へはキャンプ場から遊歩道を30分ばかりで行ける。渓谷を見下ろす曲がりくねった崖の道が滝まで続く。途中の小滝や変化する渓流を眺めながらゆっくり歩く。ここの特徴は、渓谷や遊歩道周辺の照葉樹林と点在する落葉樹の植生が歩道を曲がるたびにさまざまに変わり興味をそそることであろう。狭い空から差し込む日差しに谷や樹木が変化しながら光るのにも目を奪われる。歩道を少し下ると正面に矢研の滝が立ちはだかるように見える。高さにも幅にも水量にもびっくりするような大きさで立派な滝である。キャンプ場では盛りの紅葉が見られたが、滝の周辺では紅葉はなくカエデもまだ青々としていて秋の滝風景は後しばらくかかりそうだ。

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2006年11月28日

秋といえば・・・

木佐貫 冬星(2006年 11月 28日)


 秋といえば、松茸、栗などの食べ物を連想される方も多いでしょうが、こなら亭ではドングリがなっています。

 こなら亭のドングリは小楢とシイ、カシの3種類です。

 秋の終わり、ちょうどこの頃になるとドングリは一斉に落ち始めてきます。夏の始めにはドングリは緑色のほんの小さな粒でした。夏が過ぎて秋に入るとドングリは次第に茶色く色づきはじめます。そして春になると落ちたドングリが一斉に双葉を出します。

 この時期、みなさんもドングリについて考えてみてはいかがでしょうか。
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2006年11月24日

冬の鳥

木佐貫ひとみ(2006年 11月 24日)


 待望の、まとまった雨がようやく降りました。今年は秋の長雨もなく記録的な小雨。こならの庭にも毎日のように水まきが必要な秋でした。

 この雨とともに、寒さがやってきました。庭に散らばるように生えているヤブコウジの実が赤く色づきはじめ、冬鳥がやってきました。

 秋のはじめ、モズが高い声で鳴いた後、ヒヨドリが姿を見せ始めると秋が深まり、ジョウビタキが現れると冬の始まり。そして、シロハラくんがかさこそと落ち葉を引っくり返しながら庭を歩きはじめると、本格的な冬の到来です。

 毎冬、毎日のように庭を歩き回っているシロハラ。もう10年欠かさず姿を見せてくれるのですが、同じ個体なのでしょうか。 冬になるとまるで家族のように毎日庭にいるので、うちでは“シロハラくん”と呼んで親しんでいます。

 今年は11月9日に一度だけ姿を見せてくれました。


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2006年11月15日

タイワンクツワムシ

木佐貫 篤(2006年 11月 15日)


 秋のこの時期になると庭のかたすみで「ぎちぎちぎち・・・」と大きな声で鳴く虫がいる。普通のクツワムシに比べるとかなり大きな声で激しい。タイワンクツワムシというのだそうだ。

 ず〜っと鳴いているので何分くらい鳴いているのかな?測ってやれと思ったが、いつも気付いたときには鳴き始めているので結局正確な時間はわからず。でも5分以上はずっと鳴いているようだ。

 真冬でも鳴き声をきくことがあるが、やはり地球温暖化のせいで、南方系から進出してきているのだろうか。

 さすがに11月に入っての冷え込みで鳴き声が少なくなってはいるが、まだまだ庭のあちこちで庭の主のような感じで鳴き続けている
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2006年11月03日

一ツ葉海岸の離岸堤

林裕美子(2006年 11月 03日)


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 宮崎海岸には、砂の流出を防ぐ目的で造られた様々な海岸構築物がありますが、一ツ葉海岸の一番南の端には、離岸堤があります。岸から離して消波ブロックを積んだ壁を築き、沖からの波が浜に直接押し寄せないようにするためのものです。ここには、北のほうに5基、その南の少し沖合いに7基、合計で12基の離岸堤があります。

 砂の上に置いてあるだけなので、年月が経つと離岸堤全体が砂の中に沈んでいきます。波の上に出ていないと漁船などが衝突する危険が出てくるため、南にある7基は、消波ブロックを足してかさ上げしてあります。北の5基はまだかさ上げしていないので、満潮時には、ほとんど波間に隠れてしまいます。少し前に、すでに船が衝突するという事故が起きているそうです。

 上の写真は、かさ上げした離岸堤です。写真の遠景には宮崎港の突堤が写っています。突堤の先端を矢印で示しました。この突堤が伸びてから一ツ葉海岸は砂の浸食が著しくなりました。でもこの写真を見ると、広い砂浜が広がっていると思いませんか?実際、砂丘も防風柵の海側に大きく成長しています。この部分には緩傾斜護岸がないので、離岸堤を作りさえすれば、このように砂浜が保全できるのかと思いました。

 ところが、このあたりの浜に詳しい方に聞いてみると、この離岸堤の部分の砂浜は自然に出来たものではなく、一ツ瀬川河口から砂を運んできて形成されたものだそうです。広い砂浜ができたというのはぬか喜びでした。でも考えてみると、いくら砂浜が広いと言っても、広々とした海が眼前にあってこそ砂浜です。波打ち際に立って離岸堤を見上げてみるとわかりますが、目の前に消波ブロックの山があるというのは、ものすごい圧迫感です。
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2006年11月02日

丸野稲荷神社の巨樹

坂元守雄(2006年 11月 02日)


 宮崎県が1996年に公表した巨樹等の分布状況調査の市町村別巨樹分布一覧表に、宮崎市の丸野稲荷神社のハナガカシは次のように記載されている。

  場所        稲荷神社境内
  所在地       大字鏡洲字丸野836
  所有者       神社
  樹種名       ハナガカシ
  本数        1
  推定樹齢      200年
  幹周        240cm
  樹高        25m
  指定文化財の種類  市指定郷土の名木

 ハナガカシは前にも記載したように、他県では自生が極端に少なく、県内の照葉樹林や神社境内ではよく自生していて宮崎県の木といってよいほど貴重な木であるが、それでも、気をつけて見ないと簡単には見当たらない。この巨樹分布一覧表でもハナガカシは、宮崎市では丸野のハナガカシが1本だけである。

 2年ほど前、丸野神社のハナガカシを見に行った。丸野稲荷神社は加江田渓谷入口の丸野集落内にある。境内には他にも巨木が社殿の周りに立ち、中でも、スダジイとバリバリノキの巨木がひときわ目を引いた。が、ハナガカシは見当たらない。バリバリノキの下の標柱には「郷土の名木 バリバリノキ」とある。

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 私は、バリバリノキのこのような大木を見たのは初めてである。巨樹分布一覧表にも県内のバリバリノキの巨樹の記載はない。バリバリノキは照葉樹林の構成種だが、スギ林などでもよく見かける木である。私が知っているバリバリノキは、幹は細くて高さはせいぜい5〜6メートルであるが、図鑑によると10〜15メートルになる常緑高木とある。丸野神社の「郷土の名木バリバリノキ」が本当なら日本一のバリバリノキになるだろう。どちらかの間違いとすれば、県か宮崎市かどちらの間違いであろうか。

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 早速、市の担当者に電話をして指摘したところ、調べる、ということであった。ある期間が過ぎて、再度電話で照会すると、落ち葉を見るとハナガカシのようだ、秋にドングリがあればハナガカシと断定できるのでその時期まで待ちたい、との返事であった。先日、ドングリのことを思い出して丸野神社へ行った。標柱にはバリバリノキとあり、2年前と何も変わったところはなかった。ドングリも探したが見当たらなかった。ドングリの落ちる時期には少し早かったかもしれない。

posted by みやざきの自然 at 16:47| コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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