2006年06月26日

希少動植物の保護

坂元守雄(2006年 06月 26日)


 5月末の宮日新聞に、「増やそう希少植物」のタイトルで、綾町の「希少植物を守る会」が、町内や近郊の自生地から採った希少植物の苗を、所有する山林で植樹会を開いて植えた、という記事が掲載されたので、「希少植物を自生地から採って他の場所に移植する行為は、保護行為ではなく、野生の希少植物を減少させる行為」との主旨で同紙の読者欄に投書したところ、その投書が掲載された日に早速、守る会から電話があった。「現地の希少植物は今のままでは絶滅するので、自分たちが保護する」という主張であった。野生植物を保護するということは自生地で保護することだ、といっても理解が行き届かないようであった。

 守る会の行為や同会とのやりとりは、県内の野生希少植物がおかれている深刻な現状を浮き彫りにしている。所有すること栽培することを目的にする人や販売を目的にする業者たちによって、県版レッドデータブックに記載された野生の希少植物は競って採取され、その数を減らしている。それぞれが自己中心的で環境や自然に対する配慮が欠けている。このままでは早晩、自生地の希少植物は姿を消すことになろう。

 現に、綾の森でも希少植物に出会うことは少ない。15年ほど前、綾の森が大好きという大牟田市の自称ナチュナリストの知人が、「綾の森でカンランを1株失敬した。カンランだから許してもらえるだろう」と手紙に書いていたことを思い出す。今、そのカンランを綾の森で見ることはできない。

 綾の森は、近年、その評価を高め国内有数の貴重な森になりつつある。その一方で、林内の希少植物の採取が後を絶たない。植物だけに止まらず捕獲禁止の野鳥が捕られ、保護動物のカモシカが撃たれたりしている。見た目だけの照葉樹の森になりかねない。実効のある保護策をとることが緊急の課題になっている。

 県は、この4月から「宮崎県野生動植物の保護に関する条例」を施行し、第1次として37種の動植物を指定し、罰則を設けて保護することにした。だが、守る会のように、指定種ではないといって採取する人たちがおり、自生地の希少植物の減少に拍車がかかる懸念もある。保護条例制定によって、野生の希少動植物がその数を減らすようなことになってはならない。

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販売されている指定希少野生植物「ナゴラン」
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2006年06月09日

アカテガニの道路横断

林裕美子(2006年 06月 09日)


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 照葉樹の防潮林の中を歩いていると、足もとを何かが走りました。アカテガニでした。足も入れると10cmくらいある大きなカニでした。よく見ると、仲間があっちにもこっちにもいて、草陰から私の様子をうかがっています。写真を撮らせてね、と話しかけながらカメラを近づけると、自慢のハサミを前に出して披露してくれました(私を威嚇しただけ?)。

 5月になると、満月の夜に山から海岸へ集まり、満潮になったらいっせいに海に入って産卵することで知られています。森から海岸へ出る途中に道路があると、横断中にひかれて死んでしまうカニが続出します。卵からプランクトンがかえり、ゾエアという子供時代を海で過ごし、子ガニになると陸へ上がってくるそうです。森へ戻るときはひかれないのでしょうか?

 カニに限った話ではありませんが、車の往来がある道路ができると、地面を行きかう動物の生活場所は分断されてしまいます。動物自身が交通事故に会って死ぬこともあれば、結婚相手が見つけにくくなって子供をつくれなくなったり、季節移動ができなくなって餌を探せなくなることもあります。

 そういえば、宮崎市の中心街も片側3車線の道路が十字を切って街を分断しています。ちょっと寄ってみたいお店はたくさんあるのに、道路を渡って反対側の店へ行くのがおっくうになります。車社会になったとはいえ、人が集まるはずの場所に車が次から次へと行き交うと、肝心の人が、いつの間にかいなくなってしまいます。道路は中心地を環状に取り囲んでいて、あの広い道路が楠並木の木陰がある公園のようになっていて、疲れたら休めるベンチが置いてあったりしたら、楽しい街になるのにと思うこともあります。カニの話だったはずが、少々脱線しました。
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